私の失恋の行き着く先は…No.4


それはそれで、大事に考えてくれていることが伝わってきて嬉しい。

けれど、私は課長の腕を離したくない。

もう、一ミリも離れたくない。

「遠慮も我慢もしないでください」

「北原さん!?」

なにもかも限界の私は課長の腕を掴んだまま俯いた。

すると、頭上で「あー…」と課長が唸っていて、思わず顔を上げた。

課長としっかり目が合う。

その目には熱が帯びているのがわかった。

「ちょっと待ってくれる?」

課長はスマホを取り出して、なにやら操作している。

終わると、私の手を繋いだ。

「行こう」

会計は蓉子さんが済ませてくれていたようで、私たちはそのままお店を後にした。

エレベーターに乗り1階に降りると、課長は真っ直ぐフロントに足を進めた。

手続きを済ませると、またエレベーターに乗り上階で降りた。

宿泊フロアだと、すぐにわかった。

< 24 / 35 >

この作品をシェア

pagetop