私の失恋の行き着く先は…No.4


「そっか。うん。そういうことか…」

誰もいない会議室の中で壁にもたれ掛かりながら、ぼんやりと立ち尽くしていた。

まだ就業前の朝礼まで時間はあるけれど、そろそろ戻らないといけない。

「気持ち伝える前に、失恋しちゃった…」

約5年の片思い。

意気地がなくて、勇気が出なくて、振られた時に上司と部下の関係が崩れるのが怖くて、告白出来なかった。

ギュッと目を閉じた。

こんなところで涙を流すわけにはいかない。

ここは会社だし、これから仕事だ。

何度か深呼吸を繰り返して気持ちを落ち着かせると、覚悟を決めてフロアに戻った。

「おはようございます…」

「おはよう。そろそろ朝礼始めようか!」

鈴森課長の一声で、課長のデスク周りに人が集まっていく。




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