エリート上司の甘く危険な独占欲
 華奈はホッとしながら、涙を拭って返信を打つ。

『もう帰ってご飯を食べたところだよ。健太は遅くまでご苦労さま』

 リゾットの皿をキッチンに運んで戻ってくると、健太からの返信が届いていた。

『もう飯食ってたんだ。もう少し早かったら食事に誘えたかな』

 華奈はどう答えていいかわからず、そのまま放置することにした。テレビをつけて十分ほどしたとき、また健太からメッセージが届く。

『今度の金曜、一緒に飲みに行こうよ。昼から本社に用事があるから、華奈の会社まで迎えに行ってもいいし』

 既読になってしまったし返事をしなければ、と考えているうちに、またスマホが電子音を鳴らした。

『金曜は都合悪い?』

 連続してメッセージを送られ、華奈は『そんなことないよ』と返信した。

『じゃあ、七時でどうかな?』

 これはもう行く流れになっている。華奈は小さくため息をついて『大丈夫』と返信した。健太からすぐにメッセージが届く。

『待ち合わせ場所は華奈の会社がいい? それとも駅前?』
『駅前』
『わかった。それじゃ、駅前だね。当日、楽しみにしてるよ』
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