エリート上司の甘く危険な独占欲
 戸惑いながらも微笑む華奈の唇に、彼の唇がそっと重なった。柔らかく少し冷たい唇が、華奈の唇をついばんで離れた。

 優しいけれど、名残惜しくなる。そんなキスだ。

(甘えたいって思うのは……ダメなことなのかな)

 アルコールがまだ残っていたのかもしれない。それとも、その一度のキスに酔ってしまったのかもしれない。華奈はおずおずと手を伸ばして、颯真のシャツの袖をキュッと握った。

 颯真の顔が近づき、華奈の唇に再びキスが落とされる。さっきよりも強く触れた唇は、華奈の唇を甘く貪る。自分に向けて注がれる熱情に、知らず知らず体が熱を帯びる。それは冷えて凍えていた心に、ほんの少し温もりをもたらした。

 華奈の髪を梳くようにして彼の手が後頭部に回された。華奈は彼のシャツの背中に手を回す。

「……部長」

 溺れそうなキスの合間につぶやくと、甘い吐息交じりの声で彼が言った。

「二人きりのときは名前で呼んでくれ」

 颯真が華奈の髪を掻き上げ、首筋に口づけた。さっきは冷たいと感じた彼の唇だったが、いつの間にかとろけるほどに熱くなっていた――。 
< 30 / 161 >

この作品をシェア

pagetop