エリート上司の甘く危険な独占欲
 クスクス笑いが聞こえてきて、華奈は緩くカールさせたセミロングヘアの毛先に指を巻きつけた。ハニーブラウンのカラーは少し明るいが、艶のある色味なので気に入っている。

(普通にスーパーやドラッグストアで売ってるシャンプーなんだけどなぁ……)

「あれだけ美人でスタイルもいいと、モテモテだろうね」
「うんうん、恋愛経験豊富そう!」
「“DTくんたち、いらっしゃ~い。お姉さまが食べてあげるわ”」
「やだ、もう!」

 きゃははは、という笑い声が響き、華奈は顔をしかめた。まだ明るいうちから、いったいなんという会話をしているのだろう。

(それにしても、私って恋愛経験豊富そうに見えるんだ?)

 華奈は窓ガラスに映る自分の顔を眺めた。

 くっきりした二重と形のいい鼻、ぽってり気味の唇は、フルメイクをすると派手に見られることもあるため、いつも必要最低限のメイクしかしない。服装はといえば、今日はシンプルなボウタイブラウスに黒のクロップドパンツを合わせている。足元は履き慣れた七センチヒールのパンプスだ。
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