エリート上司の甘く危険な独占欲

「華奈さん、華奈さんから見たら私なんかまだ頼りない後輩だと思いますけど、愚痴を聞くくらいならできますんで、いつでも言ってくださいね！」

　華奈がギュッと拳を握って鼻息も荒く言うので、華奈は笑みをこぼした。

「うん、ありがとう。実は金曜日に彼氏に振られちゃってね。それで落ち込んでたの」
「えっ、華奈さんを振るなんて、なんて見る目のないやつなんでしょう！　そんな人を見る目のないダメ男、華奈さんから振ってやってもいいくらいですよ！」

　麻衣が言ったとき、二人の後ろに人影が立った。

「入らないのか？」

　聞き覚えのある声にギョッとして振り返ると、柊一郎が立っていた。

「そんなところで立ち話をすると通行の邪魔だ」

　苦虫を噛みつぶしたような表情で言われ、麻衣はさっと飛び退いた。

「すみませんっ」

　柊一郎は華奈には目もくれずにエントランスに入っていった。麻衣は大きく息を吐き出す。

「佐脇課長、すっごく機嫌悪かったですね。ランチに嫌いなものでも食べたのかな」