エリート上司の甘く危険な独占欲
 小馬鹿にしたように言われて、華奈は頭を殴られたようなショックを受けた。

(私が主任になれたのは、私の能力や実績が評価されたからじゃなかったんだ……。すべては企業のイメージアップのため……)
「そういうわけだから、あまり出しゃばるな。身の程をわきまえろ」

 柊一郎は言って、もう帰っていい、というように甲を上にして右手を振った。

「お先に……失礼します」

 華奈はショックが覚めないまま、頭を下げた。柊一郎の方は勝ち誇ったような笑みを浮かべている。

 華奈はくるりと体の向きを変え、ロッカールームに向かった。 
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