エリート上司の甘く危険な独占欲
 華奈は小箱をそっと取り上げた。ゆっくりと蓋を開けて、目を丸くする。

「これって……」

 現れたのは、ペアシェイプと呼ばれる洋ナシ型のダイヤモンドのネックレスだった。てっきりエンゲージリングをもらえるのだと期待していた華奈は、拍子抜けした。

「四月の誕生石はダイヤモンドなんだってな」

 柊一郎に言われて、華奈は笑顔を作る。

「うん、そう。すごく嬉しい。とってもキレイ」

 華奈はペンダントトップを指にのせた。ティアドロップとも呼ばれるその石は、カウンターの控えめな照明を浴びて、キラキラと濡れたように輝いている。

「気に入ってくれてよかった。それ、手切れの品な」
「え?」

 華奈は瞬きをして柊一郎を見た。彼は真顔だ。

「今、なんて?」
(手切れの品って言った? まさか、ね)

 華奈の心の問いかけに、柊一郎は淡々とした口調で答える。

「手切れの品、って言ったんだ」
「え、ちょ、ちょっと待って。手切れってなんで?」
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