エリート上司の甘く危険な独占欲
「あえて言うなら……エンゲージメント、かな」
「エンゲージメント?」

 華奈は首を傾げた。英語のengagementには“婚約”や“約束”、“関与”などの意味がある。軍事関係のニュースでは“戦闘”や“交戦”などと訳されることもある。

「仕事上の約束や取り決めを守るということと、人や物事に積極的に関わっていこうってことかな」
「深いですね」
「そうかな?」

 颯真は照れたように笑った。

「そういう華奈には座右の銘はあるの?」
「はい。ちょっと長いんですけど……“彼にできて、彼女にできて、私にできないことはない”です」

 颯真が驚いた声を上げる。

「へえ。以外と積極的な言葉だね」
「んー、積極的、というのとはちょっと違うかもしれません」

 華奈はトーストを一口かじり、ゆっくりと噛んだ。頭の中では大学時代のことを思い出していた。

「……身長のせいか外見のせいか……なにもしていなくても目立ってしまったことがあって、人前に出るのが怖くなった時期があったんです」

 表現をぼかしたが、チャラくて有名な牧野にしつこく迫られたために、『牧野の次のターゲット』として目立ってしまった、というのが本当の意味だ。
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