十人十色恋模様
「珍しいこともあるんだな」


一麻は不思議そうにそう言うが、勉学についての相談事だと思っているのだろう。


でもそれは違う。


俺は何となく察しが付いていた。


「これ、絶対に面倒なことになる」


「え?面倒?」


「九廉の相談ごとは十中八九恋愛のことだ。だが、その恋愛相談が非常に面倒くさい」


「あー……」


どうやら一麻も察しがついたようだ。


「もしかして、また?」


「その『また』だろうな。はぁ……」


『また』というのは、その字の通り、またなのだ。
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