十人十色恋模様
「ふーん。木山壱乃さんねぇ」


ニヤニヤと俺を見る三条。


なんだか妙にイラつく。


「話しかけないの?お前、社交的な方じゃん?」


「話しかけたい気持ちはなくはないけど……急に見知らぬ人からかけられても困らない?」


「困る」


「即答!?」


「でも好きな人にはなかなか声掛けられないか〜」


急に声をかけても彼女はビックリするだろうし、それで引かれたらもう目が合わなくなるかもしれない。


密かな楽しみが消えるのは嫌だ。


「やっぱりさ、俺は見てるだけでいいよ」


うん。やっぱり今のままでいい。


俺、それで満足してるし。
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