なみだくんの日々
桃のにおいがした。

いつも
いつも

もえこが横にいつ時は甘いにおいに
包まれる。

部活終わりに、お好み焼きを食べに
行ったとき、横から、このにおいがした。

もえこだった。
メイとは、違ってTHE女子って感じの
あんまい女。

「おい、もえこだぜ。かーいいよな。
つか、しゅん、お前は彼女いるしな」
「まあな、佐々木は、ああいうのがタイプなんだ」
「男なら、だいたい好きでしょ。ああいうの」

そうだ、男なら
だいたい好きになるタイプなのかもしれない。

ふわふわの髪の毛に
白い肌。
くるりと大きい目。

「ねえ、一緒にカラオケ行かない」
「おい、何、言い出すんだよ佐々木」
「いいわよ」

佐々木と俺。
もえこと友達のさやかと一緒に
カラオケに行った。

歌は、ひどいもんだった。
でも、それもかわいかった。

横から桃のにおいがした。

「グレープフルーツのにおいがする」
「え?」
「しゅんくんって、グレープフルーツ
のにおいがするね」
「ああ」
びっくりした。

もえこは、そう言って胸元に顔を近づけて
俺のにおいをかいだ。

キスしたい…。

そう思ってしまった。

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