【完】スノードロップ ~希望~
「こんな校門で騒がれたら、迷惑」

「仕方ないよ。奏多も悠真もモテるもん」

「そんなこと言って、奏多捕られたらどうすんの?」

「嫌」

「でしょ?そろそろ告んなくて、いいの?」

「他人事だって、思ってるでしょ?」

「思ってないよ……多分……」

「も~う」

「でも、好きなんでしょ?」

「……うん、大好き」

「はぁ~。よくあんな鈍感に、好意を抱けるよ。何年目?何人目?」

「恋して、13年目。あと、初恋」

「長っ!」

「知ってるくせに」

「まぁ~ね」

……私の好きって気持ちを伝えても……叶わないけど

それどころか……

「……柚季。体育館、行こっ!」

「……うん」

菜々美、気を使ってくれるのかなぁ

「にしても、ほんとモテるよねー、あの2人。一緒にいると、疲れる」

「も~う、そんなこと言わないってば~。菜々美だって、あんだけモテてたじゃない。菜々美、彼氏作ったら~?」

「私に告白してくる奴ら、みんなカス。人間でもなんでもない」

「……まぁ、ちょっとわかる気がする」

「そう言う柚季だって、あんな奴諦めて他の人にしたらいいじゃない。成績はオール5の優等生。そして、なんといってもそのきれいな顔立ち。それで中学の時なんか、3年連続モテる女子No.1。まぁ、運動は置いといて……。文句なしじゃない。中学では奏多と柚季、お似合いって学年中言ってたけど、私は他の人がいいと思う」

「それでも私は奏多がいいの」

「……そうですか。……私たちは、Aだったよね?」

「うん。奏多と悠真も一緒だよ」

「……嬉しそうだね」

「もちろん!」

「はぁ~。ほんと柚季には、敵わないよ。あっ!柚季、新入生代表だっけ?」

「うん。めんどくさいことに」

「自業自得。本気を出して、20分で解答書き終わり、全問正解するからでしょ?」

「だって~。簡単すぎたんだもん」

「ここ、日本でトップ3の高校なんだけど」

「でも菜々美、2位だったじゃない」

「そういう問題じゃないの。ったく……はぁ~」

「奏多と悠真って、何位だったっけ?」

「2人共、私と同じ2位」

「何点だったの?」

「500点満点中、498点」

「あの2人も?」

「そう。偶然に」
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