冷たい君の不器用な仮面
「__っさあさあ、涼那ちゃん!反省タイムは終わり!乗ってー」
ユウは急にパンっと手を鳴らし、後部座席へと私を急かす。
「バーに来たってことは、もうレイが退院してるかもって思って来たんでしょ?でもまだレイは入院中なんだ。一応聞くけどレイに会いに来たんだよね?」
「……あ、うん!」
「俺も今から行く所だったんだ。一緒に行こう!」
ユウはそう言うと、私を車にそそくさと乗せ、アクセスを踏んだ。
私はお願いします、と改めて声をかけてから座席に腰掛けた。
__私は窓から流れる景色を横目に、運転席でハンドルを回すユウを見る。
……本当、みんな優しいんだから
こんな自分勝手でワガママな私なんか、さっさと見捨てちゃえばいいのに。
めんどくさいって。邪魔者だって、跳ね除ければいいのに。
……みんな、こんな私が何をしても最後には全て受け止めてくれるんだ
こんな人たち、そうそういない
本当に、レイやユウと出会ってよかった。
私がこんないい人たちに出会えたのは、レイがあの時あの場所で倒れていて、その瞬間にわたしがいたからなんだよね。
もし1分1秒でも違ったら、レイたちに出会っていたのは私じゃなかったかもしれない。
__……ほんの少しの奇跡に、感謝しなくちゃね
もちろん、私を暖かい場所に連れていってくれたレイにも__……