私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「無理。もームリ」

「任せろとほざいたのはどこのどいつだ」

「ッ若だって見てただろ!?どう考えても無理だろこれは!!!」

初めこそハッカーの本領を発揮していた信洋さんだけど、流石に3時間も戦って開かないパスワードにとうとう根をあげた。

でも、どういうことだろう。漢字やひらがな、カタカナ、ローマ字はもちろんありとあらゆる言語を入力したけど一向に解除されないパスワード。

私の記憶がそもそも正しくなかったのなら、開かないのも当然だけど、あの記憶が正しくないなんて正直考えられない。

なら、どうして…。

目を閉じ、もう一度振り返る。あの惨状を、言葉を、音を。…音?

「あ、あの、マイクってありませんか」

「え?マイク?インカムでいいならあるけど」

そう言いながら信洋さんが取り出したインカムを受け取り、パソコンにつなぐ。

「ことは」

インカムを通して呟いた数秒後、エラー音が発生して空気が変わる。
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