私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「うまかったか?」
「…」
頭を撫でやる。反応こそなかったが、ケーキを食べきった事実に少なからず希望は持てる。
琴音は今、自分の意思でケーキを食べた。
それだけでも十分だ。
再びショッピングセンターの中を歩く。反応を見せるものはないまま、出ようかとも考えたときふと通りかかった店で足を止める。
アクセサリーショップだ。普段はあまり人がいないそこも、流石にクリスマスとだけあってか、人がいる。
「…」
あの事件以来、琴音に着けていたネックレスとアンクレット、指環はどこかにいってしまっていた。
あの火事で燃え尽きたのかもしれねぇ。
治療やリハビリに邪魔だったのと、そもそもそんなことに気を回す余裕すらなく、新しいものを着けさせていなかった。