医者恋シリーズ 俺様ドクターのとろける独占愛


背後から声が降ってきて振り返ると、白衣の天笠先生が力くんを覗き込んでいた。

少し前、何室かとなりの部屋にいるのを見かけたから、順番に回ってきたのだろう。


「それ、先生も知ってるぞ。飛行戦隊フラインジャーのフライレッドだよな」


気さくに話しかけてきた天笠先生に、力くんは少し驚いたように目を開く。

そして私の顔をチラリと見ると、天笠先生に向かって「知ってるの?」と疑問を投げかけた。


「日曜の朝にやってるよな。この間、先生もちょっと観てみたんだ」

「えっ、本当?」

「力くんはレッドが好きなのか」

「うん! だって、一番強いもん。先生は? 何色?」

「そうだなぁ、先生は……」


急に話が弾み出した二人を目に、つい顔が綻んでしまった。

あの夜勤中に話して以来、天笠先生は人が変わったように子どもたちに柔らかい表情で接してくれている。

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