この恋。危険です。
出会い


お一人様の私にとって、最近の一番の楽しみは、
月に数回、夜勤や休みの前の日に近くのbar’Canon’に飲みに行くこと。
カウンターが5席とテーブル席が2つの小さな店。こじんまりした隠れ家的な雰囲気が気に入っている。

このお店は私のいとこ たくやが経営してる。
たくやとは、小さい頃から仲がよく、いろんな相談に乗ったりのってもらってた。
聞き上手な彼に甘えて、未だに相談したり愚痴に付き合ってもらったりしている。

今日はむしゃくしゃしてて、無性にのみたい気分だった。
後輩のミスの後処理に、帰り際の緊急入院。仕方ないとわかっていても。なんで私が?!と、思ってしまう。
明日は休みだし、たくやに付き合ってもらおう。

家に帰り、着替えとメイクを直してたくやの店に向かう。

「いらっしゃい。いつもの席空いてないけど、どうする?」
カウンターの一番奥、そこが私のお気に入り。
お気に入りの席の前には季節のフルーツが置かれている。
積まれたフルーツを見ながら、どんなカクテルにしようか考えるのがいつもの楽しみ。
でも、今日は先客がいるらしい。

ついてない日は、とことんついてない。

ふてくされた気持ちで、1つ席を空けて真ん中に座る。
「今日はどうした?」
たくやは、私がただ飲みに来たわけじゃないことを分かっているらしい。
「ちょっと、いろいろあって…」
「ゆっくりしていけよ。」
そう微笑んで、他のお客さんの対応をしていた。

今日は何にしようかなぁ…
いちご、オレンジ、メロン・・・

考えていると、私の前にカクテルが置かれる。

え・・・?!

「たくや、私頼んでないよ?」
たくやとはいとこだけれど、たくやはこの店を経営しているわけだし、おごってもらうと私が遠慮してしまう。
『また来たいから、ちゃんとさせて』
初めて来たとき、お代を受け取ろうとしなかったたくやにそう伝えた。それ以来、たくやは私を特別扱いしない。
むしろ、他のお客さんよりサービスも少ないくらい。
なのに…
不思議に思って、尋ねると彼はにっこり笑って言った。
「あちらのお客さんから。」
見ると、一つ空けてカウンターの一番奥に座っている男性が会釈をする。

「あ、ありがとうございます。」
「いいえ。」

朗らかにほほ笑む。
暗めの照明で、顔立ちははっきりわからないけれど、きりっとした顔立ち。
座っていてはっきりわからないけれど、座っている様子を見る限り背も高そう。
一言で言えばかっこいい。
けれど、こんなことをさらりとするなんて、遊び慣れてるのかなぁなんて邪推してしまう。
このあと、誘われたりしたら嫌なんだけど。

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