この恋。危険です。
まさかの

4月。

新人看護師が入ってきたり、部署移動があったり、系列病院間でドクターの異動があったり。
なにかと忙しないこの季節。
この病棟で3年目の私はすっかりベテランの域。

その日も、日勤リーダーとして采配や新人の指導に頭を悩ませていた。
今日は看護師の朝のミーティング中に、新しく来たドクターにあいさつさせたいと、今朝、外科部長から言われた。ミーティングの終わりごろ来てもらえるように伝えてある。
時間を気にしながらミーティングをすすめていく。

ミーティングもほぼ終わり、狙ったようなタイミングで声をかけられた。
「ミーティング中にすみません。」

え?!
ミーティングの司会をしていた私はかけられた声に驚く。

いきなりだったからじゃない。

私の知ってる声だったから。

「看護師の皆さんに自己紹介してもよろしいですか?」
そういう彼は”カイ”だった。
「お願いします。」
平静を装うけれど……

なんで?!どうして。

私の頭はパニックだった。

新しくこの病棟へ配属になったのは、他の系列病院から異動してきたドクターが3人と、新人ドクターが1人。
それぞれに簡単な自己紹介をしていく。

カイの本名は 竹中 海斗
職業 ドクター

こんなところで、彼の名前を知るなんて思わなかった。

そして。
見てしまった。

彼の指に光る指輪を。

Canonで会ったときには1度だってつけてなかった………
< 9 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop