☆君との約束



『なっ、何を言っている!?そんなこと―……』


『お前、言ったじゃねぇか。"こんなこと”って。そう言うってことは、お前もその状況に耐えられるってことだろ?じゃあ、やってみろ。同じ毒性のもの、用意してやるよ。それを飲んでみろ』


『っ、ば、馬鹿なことをっ!私を誰だと心得るか!』


いきがった、クソジジイ。


自らの私腹を肥やすため、莉華を傷つけた極悪人。


『―知らねぇよ』


口を挟むまもなく、久貴くんは言う。


『んな、汚ぇ大人のことなんて、いちいち覚えてらんねーし。貴ちゃんに頼んで、アメリカの大学に行って、そりゃ、価値観の違いから色んな奴がいたし、喧嘩もした。けどな?お前みたいなバカは初めて見たわ。女を、しかも、自分よりうんと下の女を捕まえて、暴言を吐くったぁ、よっぽど、てめぇはよくできた人間なんだな?じゃあ、今度の大切な取引のとき、お前が人質になれよ。他人に、それを強制したんだからよ』


言い返す、間などありやしない。


この子は、とても大人びている。


『何なら、俺の幼なじみの世話になるか?俺の幼なじみ、最近、自分の父親を殺したばっかでな?血の気多いよー。代わりに、自分の命すら蔑ろにする奴だから、ほっとけねーけど』


御園の一部の家の人間として生まれ、御園の家の一角で育ってきたのに……それでも、目の前の青年を怖いと感じているらしい目の前の男は、とても小さく見えて。



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