太陽に照らされて〜キミと掴んだ光〜
ボーッとしながら揺られていると、あっという間に家の最寄り駅に着いた。

電子マネーの定期で改札を出て、20分ほど歩くと、マンションが見えてくる。

そこの6階が、俺の家だ。


「ただいまー」

玄関を開けると奥の部屋から、『おかえり』という声がした。


部屋へ入ると、テレビにはニュース番組が映し出されていた。

「おかえり。遅かったねぇ」

「明日の分の仕事も終わらせたからな。結婚記念日だろ?明日」

「あー、そうだったね。あたし、忘れてた」

「そんな大事な事、忘れんなよ」

相変わらず能天気な奴だと、妻を眺めてつくづく思う。



俺は、豊橋中央高校を卒業後、千葉の大学に進学した。

大学を出た年に、美緒と結婚した。

明日で、結婚5周年になる。



「それで、明日は有休とったから、みんなでどっか行こう」

「休んで大丈夫なの?」

「大丈夫、大丈夫。その点は、理解のある部長だから」

「そっか。じゃあ、どこ行くか考えないと」

すっかり乗り気である。

子供心を忘れてなくて、そういうところがいいなって思う。

「じゃあ、風呂入る」

そう言って、俺は部屋を出た。
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