副社長と恋のような恋を
 サラダが運ばれてきて、取り分けようとトングをつかんだ。すると副社長は俺がやるからと言って、トングを取った。そして副社長は楽しそうにサラダを取り分けている。

「はい、どうぞ」

 サラダを受け取り、それを食べていると、うしろから聞きなれた声が聞こえた。

「あれ、酒井ちゃんと副社長?」

 振り向くと、村田先輩と山岸さんがいた。

「やっぱり二人できてたんだ」

 村田先輩が私の横に立ち、そう言った。

「村田さんたちもデート?」

 副社長が特に気にする様子もなく言う。

「はい」

 村田先輩は当たり前にように答えた。

「せっかくだから一緒にどう?」

「いいんですか」

 副社長と村田先輩の話は勝手に進み、四人で夕飯を食べることになった。私は一瞬にして色々なできごとが起こり、よくわからなくなっている。

「酒井ちゃん、どしたの。びっくりした顔して」

「あの、先輩が前に言ってた年下の彼氏って、山岸さんなんですか?」

「うん。あれ、私言わなかった?」

「はい。今知りました」

 村田先輩はごめん、ごめんと笑いながら、私の肩をバンバン叩いた。

「麻衣は意外と鈍いんだな」

「きゃー、副社長が麻衣って呼んでる」

「なっちゃん、やめなよ。そんな小学生みたいなこと」
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