お見合いから始まる恋→結婚
私の頭の上で、誰かの声がする。

私は泣きすぎてその声すら受け入れられなかった。

私の前にスッと手が差し伸べられた。

その手にやっと気が付いた私は顔を上げた。

「尚登…?」

「ごめんね、尚登じゃなくて。」

そこには優しい顔をしたお兄さんの姿があった。

「璃子ちゃんの思いは本物だったからね。きっとその事が尚登の心を動かしたんだろう。」

何もかも知っているようなお兄さんの言葉。

うなだれている私の肩をお兄さんの手が触れる。

「僕が居るよ。一緒に立ち直っていこう。」

優しくお兄さんが私に笑いかける。

私の手がお兄さんの手に伸びた瞬間、私はお兄さんの手を叩きつけた。

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