お見合いから始まる恋→結婚
尚登さんはニッコリ笑って中に入るように促した。

「俺さ、半分結婚を諦めていたから、早目にマンションを買ったんだよ。住むうちさえあれば後は何とかなるかなと思ってさ。」

「尚登さんがその気になれば、結婚することなんて簡単だったんじゃない?」

私は少し驚いてそう聞いた。

勤め先も大企業でちゃんとした収入がある。

そしてマンションまで所有している。

ましてはこの容姿にこの人柄。

どうしてこんな人が独身でこの歳まで結婚せずに残っていたのかやっぱり不思議だ。

ただ出会いがなかっただけじゃないような気がする。

「歳を重ねて経験をして来たからこそ、憶病になる事もあるだろう?」

何だか私の心が見透かされたような気がした。

「…私の事は何か聞いている?」

私は尚登さんの表情を伺う。

< 43 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop