お見合いから始まる恋→結婚
私は思わず声が出てしまった。

「どうかしましたか?」

お兄さんは不思議そうに私を見た。

私は思わずクスリと笑う。

私の中で尚登さんが好きだという気持ちがはっきり確認できたような気がする。

「いいえ、気にしないで下さい。」

私はすっかり余裕を取り戻して、お兄さんに微笑んだ。

「尚登から僕に乗り換えない?」

お兄さんが今度は私に微笑む。

私は一呼吸置くと、ゆっくりと手を合わせた。

「御馳走様でした。」

そして財布を取り出し自分の分の代金をテーブルに置いた。

「私が好きなのは尚登さんなので。」

そしてすっと立ち上がるとまだ食事を残しているお兄さんを置いて店を出た。








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