お見合いから始まる恋→結婚
「なかなか正直な方のようですね。とにかく一日一緒に過ごしてみませんか。
せっかくのご縁ですし。」

なかなか懐の大きな人のようだ。

失礼な言葉が先走ってしまった私は少しほっとした。

「ゆっくり話をしてみないと、その人の事は分かりません。もう外見だけで判断する歳はお互いに卒業していますよね。」

ちょっとした私への皮肉にも、ユーモアにも聞こえる。

どうしてこんな素敵な人が独身なんだろう。

その気持ちが素直に私の表情に出てしまったようだ。

「私の職場は企業内の研究所なんです。周りは男ばかりで…。女の人と縁がなかったんですよ。」

思っている事がズバリと返され、頭のキレもなかなかだと感じた。

そう言えば、見た写真も白衣姿だったな。

「でも、うちは5つ年上の兄も結婚していないんです。だからこれまでは親にも何も言われずに好き勝手をしていたんですけどね。兄が40歳になったあたりからこちらに風当たりが強くなりました。せめて私くらい結婚をしてほしいと言われてしまいました。」

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