お見合いから始まる恋→結婚
冷やかしの声が聞こえる中、尚登の声が聞こえてきた。

「ごめん、陶子。びっくりしただろう。」

「ううん、ちょっと嬉しかった。だって仕事中の尚登を初めて知った感じ。」

そして更に声を低くして、尚登はひそひそと話し出す。

その姿が目に浮かぶようだ。

「婚約者って言ってくれたんだな。頭では分かっていても、陶子が実際にそう伝えてくれると嬉しい。」

尚登の努力は無駄だったみたいで、後ろで盛り上がっている様子が伝わってくる。

「ごめん、今日は休日出勤で研究所以外にいたから、スマホを近くに置いていた。嬉しくて思わず電話してしまった。仕事に戻るよ。」
 
「ううん、ラインなら迷惑が掛からないかと思ったんだけど、こっちこそごめんね。」

私は切れたスマホを胸に収める。

良い職場の雰囲気が伝わって来て、私自身も何だか嬉しくなって来た。










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