独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

「起きたら詩織の姿がなかったから心配した」
「ご、ごめんなさい」

 甘えるみたいに首元に顔を摺り寄せられて、ドキドキが止まらなくなる。智也さんの寝ぼけているときの仕草、ずるいくらい可愛い。

 慌てふためいていると、そのまま手を繋いで寝室に連れていかれてしまった。
 そしてまだ二人のぬくもりの残ったベッドの上に押し込まれ、横からぎゅっと抱き締められる。

「一緒に寝よう」
「……はい」

 智也さんは夢の中にいる延長でそんなことをしちゃうのかもしれないけれど、私には刺激が強すぎるよ!

 抱き枕を抱き締めているみたいに、私のことを抱き寄せる旦那様は、すうすうと健やかな寝息をたててすぐに眠ってしまった。

 セットのされていないサラサラな髪が私の頬にあたっている。そっと手を伸ばしてその髪を撫でて、こうして二人で一緒に眠れることをとても嬉しく思う。


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