独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

 山口さんに呼び止められ、応接スペースへと移動した。静かな空間に私と山口さん。
 なんだか居心地の悪い雰囲気を感じながら、何を話されるのだろうと緊張していた。

「急にこんな話をするのは失礼かと思いますが、私はずっと前から社長のことお慕いしております。奥様が現れる前からずっと前です」

 山口さんの言葉を聞いて、私はハッとする。やっぱり噂通り、山口さんは智也さんのことが好きだったんだ……。

 こうして面と向かって言われると、そうではないかと予想していたとはいえショックだ。

「今回、突然あなたが現れて社長はご結婚されました。私は奥様より社長のことをずっと分かっているつもりです」

 そう言われると、何も言えなくなる。長い時間を共にしてきた山口さんに比べたら、私なんてまだ数ヵ月しか一緒にいないし知らないところだらけだ。

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