独占欲強めな社長と政略結婚したら、トキメキ多めで困ってます

「でもさ、結婚でしょ? 本当に籍を入れちゃうんでしょ? そんなの絶対ムリだよ……!」
「だよね……」

 直樹と晴樹も、私に対して無理を押し付けていることを自覚しているようで、あまり強くは出られないみたい。

 けれどこの会社は二人の夢であり、大事な場所だ。

 その夢が絶たれてしまうのはあまりにも可哀想に思える。

 Valerieの二階は自宅なのだが、その自宅には病気療養中の父がいる。
半身不随の父の世話をしながら、仕事をする私たち。
三人で協力して生活をしてきたのだけど、もしValerieが倒産したらどうなるのだろう。

 最悪住む場所はなくなり、家族離散ということもあり得るかもしれない。


「ごめんね、こんなこと妹に頼むなんて、兄としてどうかしていたわ。詩織に犠牲になってもらわず、もっといい案を考えるべきね」
「だな。すまない」

 直樹と晴樹は私に頭を下げ、申し訳なさそうな表情を浮かべた。


< 27 / 284 >

この作品をシェア

pagetop