朱莉さんの不可解な一週間
見開かれたその目には7年前と変わらないノンフレームの眼鏡があった。


吉岡(よしおか)さん……?」

相手も自信がないらしく、遠慮がちにそう言葉を発して、あたしの顔をしげしげと眺める。


そして。


「そうです。吉岡です。吉岡朱莉(あかり)。覚えてないかと思った」

あたしがそう笑うと、瀬能先生もホッとしたような笑みを浮かべた。


「覚えてますよ。これでも受け持ったクラスの生徒の名前は覚えてるんです」

「担任でもなかったのに凄いね、先生」

「特に吉岡さんの年の生徒の事はよく覚えてます。僕が初めて赴任した年だったので」
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