朱莉さんの不可解な一週間
「はあああ」

「なので、誘った僕に恥をかかさない為に、明日は僕に付き合って下さい」

「はああああ

「それに僕はまだ返事を頂いてません」

「は!?」

「昨日言った事です。明日、返事を聞かせて下さい」

にっこりと、一葉以上の人畜無害な笑みでそう言った先生は、「では、明日8時に駅前で」と言うと、あたしの返事も待たずにまたさっさと去っていき、


――言い逃げ……!


大人のズルさと(たく)みな話術をお見舞いされ、呆然としてたあたしがそう思った時には、もうその姿はすっかり見えなくなっていた。
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