Some Day ~夢に向かって~
それからも、私は何事もなかったかのように振る舞った。というか、何もないんだもんね、本当に。また私が勝手にモヤ付いて、考えてしまってるだけなんだから。


そして今日は金曜日、11月も最後の日だ。早いなぁ、明日からもう師走、今年もあと1ヵ月なんだ・・・。


その日の授業もつつがなく終了し、私が帰り支度をしていると


「悠。」


と隣の先輩から声が掛かる。


「はい。」


「宿題、忘れてないよな?」


「は、はい。」


なんとか、とぼけられないかと思ってたんだけど、やっぱり無理だった。先輩をこれからどう呼ぶか、今日までに決めろって言われてたんだけど、実はまだ決まってない。


というか自分がいろいろ勝手に考えこんで、ドツボにはまってしまっている状況で、そこまで考えられなかった。


「楽しみだな。さ、行こうぜ。」


そう言うと、先輩は私の手を取って歩き出す。私は付いて行くしかない。


連れて来られたのは、前に先輩と幻の花火鑑賞をしようとしたあの場所。


そう言えば、先輩と初めて手を繋いたのはここに来る時だったな。そして今、先輩はあの時と同じように繋いだ手を離そうとはせず、こう言った。


「じゃ、答えを聞かせてよ・・・と言いたいところだけど、まずは悠の心に一昨日からわだかまってるものを、そろそろ聞かせてくれないかな?」


「えっ?」


驚く私に優しい笑顔をくれる先輩。


「気が付いてないと思ってた?」


「先輩・・・。」


「悠、俺もう嫌だからな。付き合う前なら、まだ仕方がないけど、カレカノになったのに、言いたいこと言わないで、聞きたいこと聞かないで、勝手に悩んだり、気まずくなったりするの。もう悠とそんな時間を過ごすのは絶対に嫌だから。」


「・・・。」


「まぁ、前に、ここでお前に言うべきことを言えなかった俺に言われたくないだろうけどさ。」


そう言いながら、私を見つめてくれる先輩の視線は本当に優しくて、私の鼓動は忙しくなるばかり。


(ダメ。私、この人と絶対離れたくない。)


そう思いながら、私は思い切って先輩に聞いた。


「先輩、本当に私でいいんですか?」


「悠?」


「私、先輩が背負ってらっしゃるものをよく理解してませんでした。今からそんなこと考えてるのって、由夏には笑われましたけど、でも私じゃとても・・・。先輩のご両親も、きっとそう思われたんじゃないでしょうか?」


そう言いながらも、もし先輩に「そうだよな」なんて突き放されたら、私・・・。


先輩と繋いでいる私の右手には、思わず力がこもっていた。
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