Some Day ~夢に向かって~
「そっか・・・私の見立ても満更じゃなかったってことだね。」
そう言うと木本先輩はちょっと遠くを見るような表情になった。
「やっぱり誘うべきだったのかな?そうしたら、白鳥くんにも喜んでもらえただろうし。」
「えっ?」
戸惑う私に、先輩は優しく微笑む。
「今日、母校に来たのは、白鳥くんの様子を見に来たのもあるけど、水木さんにお願いがあったんだ。」
「私に・・・ですか?」
私に頼みって、何だろう?全く想像がつかないんだけど。
「どうしようもないことだったんだけど、白鳥くんを置き去りにして卒業するのは辛かった。卒業式に、彼の姿がなかったのは寂しかった。野球部を引退しても、高校を卒業しても、一生付き合っていける大切な仲間、私達はそう信じていた。でも白鳥くんが1番苦しい時に、1番辛いときに、私達は一緒にいてあげられなかった。そして、彼がいろいろなことを振り切り、ようやくここに帰って来た時にも、私達は出迎えてあげられなかった。本当に辛かったのは、寂しかったのは白鳥くんに間違いないのに・・・。」
本当につらそうな表情の木本先輩。でも次の瞬間、私を真っ直ぐ見ると、先輩は言った。
「白鳥くんのこと、よろしくお願いします。」
「えっ?」
「3年間、一緒に笑って、泣いて、励まし合って、時にはケンカして・・・、顔を見たいと思えば、いつでも見られる、声が聞きたいと思えば、いつでも聞ける、それが当たり前だと思ってた。でも当たり前じゃ全然なかった、あの3年間は特別の時間だったんだ。だから残念だけど、もうその時間は戻って来ない。電話もあるし、メ-ルもある、連絡を取る方法はいくらでもあるかもしれないけど、いつも一緒にいることはもうできない。それが大人になる・・・ってことなのかもしれないね。」
「先輩・・・。」
「でも今の白鳥くんには、水木さん、あなたがいる。」
「えっ?」
その木本先輩の言葉は、私は驚かせる。
「1年生の時から、白鳥くんのことをずっと見てきたんだもんね、水木さんは。そんな、あなたに白鳥くんはやっと出会えた。この前、彼からのメールに『知り合いがほとんどいなくって、最初の頃はしんどかったけど、隣の席の水木って子がいろいろ気にかけてくれて、助かってる。』って書いてあった。神様はいるんだね、やっぱり。」
そう言ってまた素敵な笑顔をくれる木本先輩。
「私があなたに白鳥くんのことをお願いするのは変かな?」
「いいえ、木本先輩の白鳥先輩への気持ちは素敵です、正直羨ましいくらい。でも私は先輩の何でもありませんし・・・。」
「そっか・・・でもそれ以上は私が言うことじゃないからな、越権行為って奴だ。」
そう言うと木本先輩はいたずらっぽく笑った。
「ゴメンね、すっかり時間取らせちゃって。じゃ野球部に顔出して、山上先生にも挨拶したら、あなたのクラスご自慢のクレ-プ、いただきに行くから、よろしくね。」
そう言うと木本先輩は、グラウンドに向かって歩き出した。
「木本先輩。」
そんな先輩に私は思わず呼びかけていた。
「私、白鳥先輩のこと、好きです。ずっと憧れてましたけど、クラスメ-トになって、『憧れ』から『好き』になりました。だから木本先輩の期待に応えられるようになりたいと思います。」
初めて人に言えた自分の正直な気持ち、その言葉に木本先輩は大きく頷いてくれる。
「じゃ、また後でね。それから、これからは先輩じゃなくて、名前で呼んで欲しいな、悠ちゃん。」
「はい、みどりさん。」
お言葉に甘えて、そう呼びかけると、みどりさんは嬉しそうに笑ってくれた。
そう言うと木本先輩はちょっと遠くを見るような表情になった。
「やっぱり誘うべきだったのかな?そうしたら、白鳥くんにも喜んでもらえただろうし。」
「えっ?」
戸惑う私に、先輩は優しく微笑む。
「今日、母校に来たのは、白鳥くんの様子を見に来たのもあるけど、水木さんにお願いがあったんだ。」
「私に・・・ですか?」
私に頼みって、何だろう?全く想像がつかないんだけど。
「どうしようもないことだったんだけど、白鳥くんを置き去りにして卒業するのは辛かった。卒業式に、彼の姿がなかったのは寂しかった。野球部を引退しても、高校を卒業しても、一生付き合っていける大切な仲間、私達はそう信じていた。でも白鳥くんが1番苦しい時に、1番辛いときに、私達は一緒にいてあげられなかった。そして、彼がいろいろなことを振り切り、ようやくここに帰って来た時にも、私達は出迎えてあげられなかった。本当に辛かったのは、寂しかったのは白鳥くんに間違いないのに・・・。」
本当につらそうな表情の木本先輩。でも次の瞬間、私を真っ直ぐ見ると、先輩は言った。
「白鳥くんのこと、よろしくお願いします。」
「えっ?」
「3年間、一緒に笑って、泣いて、励まし合って、時にはケンカして・・・、顔を見たいと思えば、いつでも見られる、声が聞きたいと思えば、いつでも聞ける、それが当たり前だと思ってた。でも当たり前じゃ全然なかった、あの3年間は特別の時間だったんだ。だから残念だけど、もうその時間は戻って来ない。電話もあるし、メ-ルもある、連絡を取る方法はいくらでもあるかもしれないけど、いつも一緒にいることはもうできない。それが大人になる・・・ってことなのかもしれないね。」
「先輩・・・。」
「でも今の白鳥くんには、水木さん、あなたがいる。」
「えっ?」
その木本先輩の言葉は、私は驚かせる。
「1年生の時から、白鳥くんのことをずっと見てきたんだもんね、水木さんは。そんな、あなたに白鳥くんはやっと出会えた。この前、彼からのメールに『知り合いがほとんどいなくって、最初の頃はしんどかったけど、隣の席の水木って子がいろいろ気にかけてくれて、助かってる。』って書いてあった。神様はいるんだね、やっぱり。」
そう言ってまた素敵な笑顔をくれる木本先輩。
「私があなたに白鳥くんのことをお願いするのは変かな?」
「いいえ、木本先輩の白鳥先輩への気持ちは素敵です、正直羨ましいくらい。でも私は先輩の何でもありませんし・・・。」
「そっか・・・でもそれ以上は私が言うことじゃないからな、越権行為って奴だ。」
そう言うと木本先輩はいたずらっぽく笑った。
「ゴメンね、すっかり時間取らせちゃって。じゃ野球部に顔出して、山上先生にも挨拶したら、あなたのクラスご自慢のクレ-プ、いただきに行くから、よろしくね。」
そう言うと木本先輩は、グラウンドに向かって歩き出した。
「木本先輩。」
そんな先輩に私は思わず呼びかけていた。
「私、白鳥先輩のこと、好きです。ずっと憧れてましたけど、クラスメ-トになって、『憧れ』から『好き』になりました。だから木本先輩の期待に応えられるようになりたいと思います。」
初めて人に言えた自分の正直な気持ち、その言葉に木本先輩は大きく頷いてくれる。
「じゃ、また後でね。それから、これからは先輩じゃなくて、名前で呼んで欲しいな、悠ちゃん。」
「はい、みどりさん。」
お言葉に甘えて、そう呼びかけると、みどりさんは嬉しそうに笑ってくれた。