幼馴染みと、恋とか愛とか
「首藤から聞いた。萌音はあいつに弁当のことで絡まれてたんだな」


首藤…という名前が出て、ビクッと背中が伸びる。
唇を噛む私を確認した紫苑が表情を歪め、「悪かった」と謝った。


「首藤には前から時々羨ましがられてたんだ。萌音のことを気に掛けてたみたいだったし、そんなお前に俺が弁当を作らせてるのが気に入らなかったんだろうな」


幼馴染みだということも内緒にしていた。
それで要らない勘繰りをしたんだろう…と予測してる。


「今回のことを受けて首藤には謹慎を言い渡した。近いうちに解雇もする予定だ」


「紫苑!」


それはしてはいけない、そう言おうとしたんだが、紫苑は悔しそうに下唇を噛んでて__。


「嫌なんだ。あんな風に萌音に触れる奴をオフィスに置くのは」


声を振り絞って話す紫苑の顔が苦しそうで、無理をしてるんじゃないかと思った。


「萌音は俺の大事な人間なのに、あんなに軽々しく触れやがって」


「えっ」


「俺が子供の頃から目に入れても痛くないほど可愛がってきたのに、あんな風に泣かせて」


(えーと)


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