幼馴染みと、恋とか愛とか
どうせ土曜日だし…と思いつつベッドを降りて一階へ行く。
キッチンに入ると母がいて、「あら起きたの」と言ってきた。


「ん…。でもまた寝るから」


グラス立てから一つを引き抜き、冷蔵庫の中にあるミネラルウォーターを注ぐ。
それをゴクゴクと飲み込んで流しに置くと、急に昨夜のことが思い出された。


グラスを掴んだまま動きが止まる。
それに気づいた母が振り返り、「どうしたの?」と訊いてきた。


「何でもない。ちょっと二日酔みたい」


さっとグラスを洗って乾燥機に伏せる。
キッチンを出ようとすると母が後ろから「萌音」と呼び止め、私は面倒くさそうに振り返った。


「仕事はどうなの?」


「続けられそう?」と心配する母に「大丈夫」と声を返す。けれど、母は信用ならないみたいで「折角紫苑君に口を利いてもらったんだから…」と言い出した。


「銀行の時みたいに急に辞めるとか言わないでね。紫苑君にも申し訳ないから」


彼の面子を潰さないように…と注意して、私はウンザリした感じで、「分かってるよ」と言い放つ。



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