幼馴染みと、恋とか愛とか
紫苑は多分、私の様子が変だったのを観察してたんだ。
こっちはいつも通りの仕事ぶりだったと思うけど、紫苑の目には私が笑ってないように見えていた。


(それでおでんを食べたいと言い出した?他でもなく、私を笑わそうと思って?)


何だかそんな気がして紫苑を見遣る。
口角を上げてパソコンに向かい合う姿を目にすると、きゅん…と胸の中が狭くなった気がした。


「任せて」


紫苑にとびきり美味しいおでんを作ってあげようと思いながら力が湧く。

彼にも力を付けて貰おうと思い、大きなおにぎりも作って食べさせようと考えた。


紫苑は何も言わずに頷くだけだった。

でも、私の中には確実に張り合いみたいなものが生まれ、また紫苑に救われた様な気分で、少々悔しくもあった……。



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