キネウム王子とイーディス姫の溢れ出るパトス
「王子、この子に見とれている場合では」

「ないようですよ」

「あちらから怪しい四足動物が」

「馬鹿でかい茸背負ってやってきます」

「・・・なんて素敵な馬車だ」

「アンプ・・・悪趣味だな君って奴は」

アリウムの兵士達は

自分の身の丈よりも長い鎌を取り出し

王子の周りに集まりました

「あっ・・・ごめんなさい」

「あれは・・・私の馬車です」

「は?君の・・・?」

イーディスは何事も無かったかの様に

すくっと立ち上がると

王子と兵士に一礼し馬車に乗り込みました

「・・・なんて可憐だ」

「君の名を聞かせてくれないか?」

イーディスは馬車から顔を出し

王子に向かいか細い声で言いました

「・・・名乗る名などありません」

「さようなら・・・王子様」

「ありがとう」
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