溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない

前いた会社は年配の人が上司だったし、役員といえばみんなおじさんで、部署毎に部屋が分かれていたのだけど。

ワンフロアだと意思の疎通とか楽そう。

そんなことを考えていたら、目の前にいる大輪の薔薇のように綺麗な女性が挨拶してきてハッとした。

「私は総務部長兼社長秘書の高橋可憐。この愚弟の姉よ。私のことは可憐と呼んでね」

可憐さんは遥を見下すような目で見ると、次に私に向かって美しく微笑んだ。

なんと、遥のお姉さまだったとは。

美形姉弟だね。

彼と苗字が違うということは、ご結婚されているのかな？

チラリと彼女の左手に目を向ければ結婚指輪が光っている。

それにしても……。

「すごい美人」

ほおっと見惚れていたら、可憐さんにいきなり抱きつかれた。