溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
近くにあったエレベーターのボタンを押して駆け込むように乗り込み、壁に持たれかかって頭を抱えた。

どうする私?

お兄ちゃんの親友と寝るなんてシャレにならない。

でも、お兄ちゃんはイギリスにいるし、遥に会うことはあまりないはず……。

そう……きっと当分会わない。

自分を慰めながらエレベーターを降りると、バッグからスマホを取り出して現在地を確認する。

だが、あまりにも取り乱していたせいか、スマホを落としてしまった。

「あっ!」

床は大理石。

ガシャンと音を立てて壊れるスマホ。

半泣きになりながら拾い上げれば、画面にヒビが入り、電源を入れてもうまく作動しない。

疫病神にでも取り憑かれたのだろうか?

「何やってるんだろう」

だが、私の不幸はそれで終わりではなかった。
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