溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
確かに今日が退去日の予定だった。

でも、こちらの事情を総務部長に伝え、退去日を数日延ばしてもらったのだ。

仕事の方も引き継ぎが終わってなくて気がかりだったけど、何かわからないことがあれば私に連絡するよう言付けておいた。

それで、ちょっと気持ちが楽になった私。

追い詰められて、いろいろ難しく考え過ぎたんだよね。

今日寮に帰って本や食器を処分してしまえば、私の荷物は洋服ぐらいしか残らない。

それで、期日になったら親友のアパートに数日泊めてもらい、先のことはまた後で考えようと入院中計画を立てていたのに……。

「なんでそんな勝手なことするの!」

沸々と怒りが込み上げてきて、キッと遥を睨みつけた。

「言ったら、お前病院抜け出すからな」

少しも悪びれた様子を見せない遥に余計に腹が立つ。

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