溺愛本能 オオカミ御曹司の独占欲には抗えない
遠出をするので着替えを用意するよう彼に言われていたのだ。

着替えがあって良かった。

出来ればシャワーを浴びたいが、生憎ここにはない。

トイレで着替えるも、シューズが水浸しで気持ち悪かった。

「撤収するか」

同情の眼差しの遥に優しく声をかけられ、寝れた頭をタオルで拭きながら「うん」と小さく頷き、車に乗る。

カーナビで靴屋を探し、彼が新しいシューズを買ってきてくれた。

「ありがと。あー、早くシャワー浴びたい」

「あと三十分我慢しろ」

もしかしてラブホにでも行くのだろうか?

だってこんな山奥で休むとこってラブホしかなくない?

そんな考えがふと頭に浮かび、急にハラハラしてきた。

何も言わず黙っていたら、遥が面白そうに話しかけてくる。

「今日泊まるのは水上温泉」

「温泉?」

彼の意外な発言につい声を上げた。

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