世界で一番優しい嘘〜短編集〜
戻らない時間
「ミルカちゃん〜、課題やってきた・・・?」
「・・・ミドリ・・・まさか貴様、やってないのか」
あたしは呆れてミドリを見ていた。
白川 ミドリ。
あたしの幼馴染。
あたしには4人の幼馴染が存在する。
1人は、水沢 海斗。普段はのほほんとしているが、とても賢いやつだった。
2人目は中井 ミユキ。将来は薬剤師になるという女。
3人目は夕月 カレン。18歳にしてピアニスト。天才少女と言われる女。
4人目は玲斗。黒髪で肌が青白・・・、肌が白い。のんびりした金持ちの坊ちゃんである。普段はとてものんびりしているがあたしは知っている。
こいつが怒ったら一番手に負えない。
「今日も玲斗のとこ、行くでしょ?ミルカ」
「・・・ああ」
「ミルカちゃん〜課題〜っ」
「・・・そんなのもできないの?ミドリは」
「海斗は辛口だよねぇ〜・・・」
玲斗はあたし達と同じ18歳なのだが、あまり身体がよくない。
そのため学院にはあまり来ることが無い。
そしてあいつも既に来る気は無い。
・・・駄目なやつだなあいつ・・・。
「ミルカちゃんはさ、玲斗が好きなの?」
「・・・・・・は、はぁ?」
ミドリは急にあたしに問う。
何言ってんだこいつは・・・。
あたしが?
好き・・・?玲斗を?
『ミルカ』
・・・玲斗・・・を?
『一緒にお茶しない?』
あんなのほほん坊ちゃんを?
ありえないな。
「ありえねぇだろ。
あたしと玲斗って・・・。あいつは上品だぞ。しかも女顔。
付き合ったらあたしが彼氏だろ」
たしかに〜とか要らんことを言うのは海斗。