彼の隣で乾杯を
「最近は行かれてないみたいですが、よく合コンや企業のパーティーに顔を出しているって。でも、その後会社に戻って残業していたり、営業かけてお仕事をとってきているみたいだし・・・合コンも佐本さんには業務の一環じゃないんですか?」

「確かにそこに男女の恋愛関係は求めてないわね。頼まれたら合コンに出て、その人の顔を立てつつ仕事に結びつくような出会いがあれば利用するって感じかな。このプロジェクトに異動になってからは忙しすぎて合コンには参加していないけど」

「そうだと思ってました。納得です」

菊田ちゃんは満足そうに頷いた。

「佐本さんがやってるのってオトコ遊びしながらできるような仕事量じゃないし、枕営業して取れるようなレベルの低い内容じゃないです。海外事業部の薔薇姫は綺麗な女性って意味じゃなくて薔薇の花みたいに有能で美しい孤高の営業マンだって私わかりました」

胸を張ってはっきり言いきった彼女を驚きをもってじっと見つめてしまう。

「あ、ありがとう。褒められてるのかな、わたし」

「褒めるだなんておこがましいです。私、今回佐本さんのアシスタントをすることができて本当にラッキーです。神田部長に新規プロジェクトに行くように言われて初めは不安だったんですけど、この半年間佐本さんの下につかせてもらって沢山勉強させてもらって。神田部長に大感謝です」

うわっ、ここにもいたよ、タヌキの部下が。

「菊田ちゃんって神田部長のところからの異動だったかしら?」

「いいえ、私は総務からなので直属の部下ではないんです。海外事業部から集められた人以外のメンバーで神田部長の営業部から来たのは3人のみです。後は私みたいに個別に神田部長から声をかけてもらった他の部署からの転属なんですよ」

「え?そうなの?」
予想外の言葉に私の薔薇姫の鎧が剥げかかる。
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