彼の隣で乾杯を
高速を走らせ、途中で休憩しながらソフトクリームを食べたり間食をしたり。
早希と何度も遊びに出掛けていたけれど、ドライブは初めて。早希は運転も上手で何の不安もない。

「ああー、楽しい。こんなお出かけも新鮮でいいねー」

「ホントに最高。天気もいいし渋滞もなく隣には美人の親友。ソフトクリームもフランクフルトも美味しいし。あとは虫さえ寄ってこなければ最高なんだけど」
あははっと二人で笑いころげる。

私たち、サービスエリアで休憩をとる度に男性から声をかけられていたのだ。

「君たち二人なの?オンナ二人で寂しくない?一緒にどう?」って。

せっかくだけど、早希にも私にも恋人以外の男性は必要ない。
そこはトラブルにならないように気を付けてきちんとお断りをする。

「こんなこと副社長が知ったら早希を連れて帰っちゃいそう」

「そんなことないよって言いたいところだけど、そうかもしれない」
早希は肩をすくめてフフッと笑った。

「ホントに副社長って早希のことになると心が狭いわ。やめるなら今のうちだよ」

「いいの。今はそれもうれしいから」

早希の見せた輝くような笑顔に「あーはいはい」と空返事をした。
早希が幸せならそれでいいんだけど。

「息苦しくなったら今度は私を頼ってね」
釘をさすようにすると「うん、その節は申し訳ございませんでした」と殊勝な言葉が返ってきた。

「わかってるならいいけど」
ツンっと口を尖らせる。

「由衣子も逃げたくなったら私を頼ってね」

私が逃げたくなるような状況は発生するのだろうかと思いながらも「ヨロシク」と返事をしておいた。
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