彼の隣で乾杯を
「佐本さん宛にパーティーの招待状が届いています」
イスに座るとすぐに私の目の前にスッと白い封筒が差し出された。

「中を確認しても?」

「お願いします。うちの社長宛に届いたものですが、中にもう一通これが入っておりまして。社長宛てのものは差出人がアンドレテ社の社長でしたが、あなた宛のものは社長のご長男のエディージオ氏からになっていますので直接お渡しに参りました」

もう、エディージオったら。
思わず顔をしかめてしまった。
こんなに目立つことをしなくてもいいのに。

確かに、このところ彼から何度か電話やメールが来ている。
初めは久しぶりに来日したから会いたいというディナーの誘いだった。

今そんな暇はないと断ると次はランチ。

「ホントに忙しいのよ」と電話したのは一昨日。
「ビジネスランチってことでどう?」となおも誘われ
「残念だけど、私はあなたの会社の担当を外れてしまったの。今は次のプロジェクトにかかりきりで」お宅の会社の担当者は私ではない、だから無理だと言っておいたのに。

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