彼の隣で乾杯を
「お前は相変わらず頑張っていて。嬉しくもあり、少し寂しかったな」

「仕事の結果は私を裏切らないし・・・」

「なあ、もう一度、俺とのことを考えてくれないか?3年もほっといて何を今さらって思うかもしれないけど、俺はずっとお前のことが好きだった。誰か隣にいてくれるなら、それはお前がいい」

「主任」

「今ならお前のこと全部守ってやれる。逃げ出しても追いかけて、納得するまで話してやる、だから」

「待って、主任!
ごめんなさい。もう無理です。私にとってはもう過去なんです。やっと、やっと前を向けるようになったんです」

私はしっかりと主任の目を見つめた。

「私はもうあの頃の私じゃないんです。好きな人がいます。とてもとても大切な人なんです」

「そいつとは恋人同士ってこと?」

「いいえ、私の片思い。でも、いいんです。私には仕事もあるし、今はこれで」

「だったら。由衣子、今すぐじゃなくていい。俺のことも見てくれ。女々しいと思ってくれて構わない。俺はずっとお前のことが好きだ」

「でも。もう。本当にごめんなさい…」
私は視線を下げて目を閉じた。

私の心は決まっている。誰かに寄り添うんだったらその相手は高橋がいい。
いや、高橋じゃないとダメ。



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