向日葵

同じ痛み

「俺、こんなへき地には絶対住めない。」


「…もっとマシな言い方ないの?」


「だって、ただの田舎だろ?」


「…いや、それはそうだけど…」


「俺、常に明るくないと不安だし。」


まるで子供みたいな言い草に、思わずあたしはこめかみを押さえてしまうのだけれど。


“キャンプなんて論外だね”と、そう付け加える様に呆れてしまい、窓の外へと視線を移せば、静かすぎて落ち着くのになと、あたし的には思ってしまうのだけれど。


食事を終えた帰りの車内、先ほどからクロは、文句ばかり。



「せわしない日常とか、嫌になったりしない?」


「いや、むしろ俺、人波に埋もれてる方が楽だから。」


ひとつため息を落とし、彼はそう言って視線を流し、煙草を咥えた。


人との繋がりを苦手とするあたしとは、意見の相違なのかもなと、そんなことを思ってしまう。



「それ、息苦しく感じないの?」


「どっちかって言うと、そのまま窒息して死んじゃいたいかも。」


「……え?」


戸惑うように視線を向けてみれば、口元だけを緩めた彼は、“変な顔”と、そうやってまたはぐらかした。


どうにも答えは的を射ることはなく、何が言いたいのかもわからずにあたしは、再び窓の外へと視線を移した。



「本気で死にたいとか思ってんの?」


「さぁ、どうだろうね。」


そう言ってクロは、何が面白かったのか笑いを堪えたように、クスクスと漏らす。


遊んでるだけなのか、それとも本心を垣間見せているのか。


どちらなのかもわからず、ため息を混じらせるようにしてあたしは、それ以上の言葉を飲み込んだ。


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