0414 ヨン.イチヨン
0414

熊本地震。

私の人生史上(まだ短いけれども)、一番大きな災害。

新年度が始まり、当時学生だった私は、心機一転、新学期を迎えていた。


当たり前のように、お風呂に入っていたその時、外から声が聞こえた。


「大丈夫?何もない?」


母の声。

「え、何が?何もないけど」


この時、私は何があったのか、全くわからなかった。

というのも、お風呂(あるいはトイレ)は、地震が分かりにくい部屋なのだ。

この時刻に起きた地震は、一般に言う「前震」。熊本県内では、震度7を記録した。

長崎は、震度4とか5くらいだったと思うが、私は、お風呂にいたので、特に揺れを感じなかった。

お風呂から上がって、髪を乾かしていると、ぐらっと揺れる感覚に襲われた。

ドライヤーを止め、即座にしゃがみ込んで頭を抱えた。

洗面所は、なにかと物が多いため、棚などが倒れてくれば、体に当たることもある。

その頃、テレビでは、次々に地震速報が流れていた。

小さな地震がいくつも続き、不安だった。

リビングに家族全員で集まって寝た。

「明日の学校、休校にならないかな」なんて呑気なことを考えられていたのは、ここまでだった。


4月16日。

15日の夜中1時半ごろ。

ドドドド、という音と、とてつもない揺れの衝動に起こされた。

起こされたというか、飛び起きた。

考えることもなく、机の下に潜った。

机の脚に必死ですがりついた。

「怖いよ、嫌だよ」それを繰り返していた。

付けっ放しだったテレビからの緊急地震速報と、アナウンサーの声。

数台の携帯から一気に鳴る、緊急地震速報。

狂いそうだった。

息を潜めて、ただ、丸く縮こまっていた。



これが、「本震」と呼ばれることになる、熊本地震で、最も影響が出た地震だ。


本震がおさまってからは、特にそれといった地震は起こらなかった。

余震はちょくちょく起こっても、「あ、なんか揺れてるね」という程度に感じた。

学校も、地震が起きないかとヒヤヒヤしながら過ごしたが、何もなかった。

そして、普通の生活に戻っていった。


長崎は、ほんの少しの津波(東日本みたいなのではなく、水がチャプチャプながれるだけだったみたいです)と、その後の雨も重なって、土砂崩れが起きたくらいだ。

熊本に比べれば、全くといっていいほど何もなかった。






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