【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。




「蘭君」



スルリと指を絡めながら、彼の服を脱がしていく。


突然の私の大胆な行動に、蘭君は驚いて目を見開いた、けど。
その目をすぐに閉じた。



「んっ...」




見えない所に隠されていた傷に口づけをして、愛おしいそうにそれを見つめる。



「...消えねえよ、なにがあっても」


「汚くなんかない、それに無理に消さなくていいんだよ。
痛みに耐えて、それが生きた証なら恥じることじゃないから」


「...」


「蘭くんは勇敢だね。
私なら逃げてるよ。
でも蘭君は...ずっと、綺麗なままだ」


「...お前...俺の過去知ってたのか...」


「......うん。
でも、過去なんて関係ないよ。」


「...」


「蘭君の鼓動が聞こえてくる度嬉しくて、私の心臓が止まりそうになるの。
綺麗だよ蘭君、なにもかも気にならないくらい蘭君は綺麗なんだよ」


「...っ...」



気持ち悪いと、絶対に人には見せられないものだと隠して生きてきたそれが
まさか綺麗と言われる日が来るなんて思ってもみなかった。


と、彼は私の肩に顔をうずめて静かに泣いていた。



私は子供をあやすように蘭君の頭を撫でる。



ーーーサラサラの黒髪


彼にしかない、トラウマ。


全部ほしい。


痛みも、彼の過去も


全部ほしくてたまらない。







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